解ってない
貴方は何も解っていない
弓につがえた矢は、限界まで引き絞って解き放たれる
矢は、人の手を離れ、重力も空気抵抗すら感じぬかのように飛んでいく
残念ながら矢は、それ単体では空を飛ぶ事は叶わない
人の手を借り、弓につがえられ、初めて空を飛べるもの
他人の『自由』を見て羨ましいと思う
思い立ったその瞬間に、好きな場所に飛んで行ける
その自由に憧れる
でも貴方は知らない
どんな素晴らしい場所に行こうと、たった一人で見る世界は、酷く静かで、孤独に彩られていると言う事実を
疲れた身体で家路を目指しても、暖かな光は出迎えてくれない事を
一人孤独な人は、それが寂しいから家に戻らないだけだと言う事を
美しく輝く「自由の世界」に羽ばたきたくて仕方ないだけ
解き放たれた矢は、行き着くところまで行けば
落ちるだけ
その先に、行くことも戻ることも
どうする事もできないという事実を
「自由」の輝きに掻き消されて見えない
誰しも自由なだけの人なんていない
守るべきモノをちゃんと守れてこその「自由」
不安や寂しさを与えて成り立つ自由なんて
何も守れていない
貴方の求める自由は「身勝手さ」でしかない